ここ数年、ベネチアの街が水没したというニュースを目にする機会が多くなってきました。世界中から多くの観光客が集まるベネチアですが、水没は何が原因で、旅行にはどのような影響があるのでしょうか?
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大高潮でベネチアが水没状態に
「水の都」と呼ばれるベネチアには、街中に運河が張り巡らされており、他の都市では見られない美しい光景を目にすることができます。その反面、水に囲まれているため水害とも隣り合わせになっています。
そんなベネチアですが、先日テレビのニュースを見ていたところ、つい数ヶ月前に訪れたばかりのサン・マルコ広場が、完全に水没している驚きの光景が目に飛び込んできました。
水没の原因となっているのは、アックア・アルタ(Acqua Alta)と呼ばれる大高潮。満潮、低気圧、季節風といった要素が重なり合って大洪水を引き起こし、街の大部分が水没してしまったようです。
ベネチアには、潮位監視予報センターという機関があり、高潮の予報や記録を行っていますが、2019年11月12日の高潮は水位が187cmを記録し、観測史上2番目の高さだったそうです。
ちなみに、これまでで最大の水没は、1966年11月4日に記録された194cmだとか。大人の人間もすっぽり水に浸かってしまう高さです。
ベネチア水没の観光への影響は?
ベネチアでは、水没した中でもほとんどのレストランやホテルは営業を続けているようです。実際、テレビでも足が水に浸かった状態でレストランで食事をしている人達の様子が映し出されていました。
洪水が発生すると、ギャングウェイと呼ばれる歩道橋のようなものが水位より高いところに設置されるため、ベネチア市民や観光客は、そこを渡って移動します。
もっとも、一日中水没しているというわけでないため、高潮が引けば歩いて観光はできるようです。2019年11月15日には、海抜の低い場所にあるサン・マルコ広場が、大高潮の影響で閉鎖されましたが、数時間後には閉鎖が解除されました。
また、ベネチア市民は「hi!tide Venice」というアプリで高潮の情報をチェックしているそうです。これは、ベネチアを訪れる観光客にも役立ちそうですね。
ただ、今回の大高潮でサン・マルコ寺院をはじめとする多くの文化財が被害を受けています。高潮による洪水だけでなく、水が引いた後の塩害の懸念もあるようなので、今後が心配です。水没による被害額は1,200億円を超えるとも言われています。
ベネチア旅行を避けるべきシーズンは11月と12月
アクアアルタの過去の記録を見ると、2000年代に入ってからベネチアで発生した記録的な大高潮は、ほとんどが11月と12月に集中しています。
ベネチアの洪水による水没は、地球温暖化による影響もあり、年々深刻になってきているようですので、ベネチア旅行を検討中の方は、11月と12月は避けたほうが無難だと思います。
ちなみに、ベネチアでは水没とは逆に、干潮の影響で運河が干上がってしまう現象が起こることもあるとか・・。ベネチアと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、運河を行き交うゴンドラの光景ですから、旅行に行くときは、水没したベネチアにも干上がったベネチアにも遭遇したくはないですね。